1964年、大阪府箕面市生まれです。1985年に嵯峨美術短期大学洋画科を卒業し、1986年には関西新製作展、自由美術展でそれぞれ入選・佳作をいただきました。1987年には京都芸術短期大学専攻科洋画科を卒業し、洋画の基礎から表現方法まで、幅広く学びを深める時間を過ごしました。以来1986年から現在まで個展やグループ展を開催し続けています。
想いを形にというコンセプトのもと、色と形で抽象的に表現することを大切にしています。
Interview作家インタビュー
美大で学んでいたころ、絵が全く描けなくなってしまった時期がありました。絵を描くことが好きで美大に入ったのですが、大学での学びの中で構図やコンセプト、色や表現方法を先生方に評価される中で、次第に頭で考えて描くようになり、描く楽しみがなくなってしまいました。
そんなときにふらりと立ち寄った小さなギャラリーで、子どもたちが自由に描いた作品展に出会い、そこで衝撃を受けました。構図も色も評価も気にせず、好きなように描けばいいのだと改めて気づかされ、そこから今につながる自由な表現へと作風が変わっていきました。
もうひとつ、50代になったころ精神的に大きなダメージを受ける出来事があり、意欲を失い生きづらさを感じていた時期に、実家で若いころに描いた絵を目にする機会がありました。当時とても幸せな気持ちで描いた作品を見た瞬間、癒しのシャワーを浴びたような体験をしました。絵には時間を超えて思いが宿り、時を経てもその時のエネルギーを伝える力があるのだと気づき、それをきっかけに癒しをテーマにした作品づくりも始めました。
美大で絵画を4年間学ぶ機会を得たことがきっかけです。学生時代に基礎から表現まで幅広く学んだ経験が、今の制作の土台になっています。当時学んだ技術や考え方は、今もなお自分の制作の根底に流れていると感じています。
卒業後も定期的にギャラリーを借りて作品展を続けています。ただ、作品制作だけで生計を立てていくのは決して簡単なことではありません。そのため本業としては、テキスタイルデザインのアトリエを営みながら、二足のわらじで創作活動を続けています。
想いを形にすること。それが制作において何よりも大切にしていることです。
頭で考えながら描こうとすると、作品はどうしても硬く、不自然なものになってしまいます。だからこそ、筆先が向かうままに、自分の内側から自然に湧き上がってくる感覚を大切にし、筆が自由に動くのに任せるようにしています。
そして、どうしても描けなくなったときには、無理に筆を取ろうとはせず、その時々の自分の状態に正直でいることも意識しています。焦らず、自分のペースで向き合うことが、想いをそのまま形にすることにつながっていると感じています。
輝美琳のメインページで使用している作品で『天秤~バランス』です。平面や立体、音、思い、人と人との関係など、すべての事象はバランスによって成り立っています。色や形、そして心の中の善も悪もどちらか一方ではなく、両方があることでゆらゆらと均衡を保っているさまを描きました。
もうひとつは、具象作品ですが大好きな相棒だったペットのにゃーにゃを描いた作品です。この子はもうこの世にいませんが、大切な一枚です。そして、にゃーにゃがいなくなってから、あの子を思って描いた作品もあります。愛と素晴らしい時間をくれてありがとう、という思いを込めました。どちらの作品も部屋に飾り、今も自分を元気づけてくれています。
今の自分のリアルな思いを、これからも平面に載せていきたいと思っています。その時々で感じたこと、心の中にある正直な気持ちを、飾らずそのままキャンバスに落とし込んでいきたいです。頭で考えすぎず、筆が自然に動くままに任せる、その姿勢はこれからも変わらず大切にしていきたいと考えています。
そして、お客様と対面して絵を描く機会があるときにも、その場で生まれる思いを大切にしながら、一枚一枚丁寧に形にしていきたいと考えています。目の前の相手と向き合いながら生まれる表現は、一人制作するときとはまた違う発見があり、そうした瞬間瞬間の実感を、これからも大切にしていきたいです。
評価や技巧にとらわれず、描く喜びそのものを大切にする輝美琳氏の姿勢は、子どもたちの自由な作品展から受けた衝撃と、人生の転機に絵から癒しを受けた経験に裏打ちされています。かつて描く楽しみを見失った経験があるからこそ、今の作品には嘘偽りのない実感がにじんでいます。今後も自身のリアルな思いを平面に載せ、鑑賞者やモデルとなる方と向き合いながら、癒しと発見に満ちた作品を生み出し続けてくれることでしょう。