野崎ふみこ
Fumiko Nozaki
野崎ふみこ
Fumiko Nozaki
45年以上にわたり、漫画家として数多の物語を紡いできたベテランが、今、新たな表現の高みに挑んでいる。その名は”野崎ふみこ”。物語の世界で活躍してきた彼女が第二の舞台として選んだのは、無数の「点」によって森羅万象を描き出す『ドットアート』という深遠な世界だった。 1977年、大手出版社から漫画家としてデビューした野崎氏。少女漫画や女性漫画の第一線で活躍している彼女の作品は、登場人物の心の機微や作品に流れる時間、そして情景に宿る空気感といった、形のないものまでをも描き出すストーリーで、多くの読者を魅了してきた。彼女が持つ卓越した表現力は、2019年、『ドットアート』という表現との出会いでさらに磨かれていく。「”ドットひとつに、物語も時間も想いも込められる”ことに衝撃を受けた」と本人が語るように、ドットアートの魅力に心を奪われた彼女は、2021年からは漫画家と並行して『ドットアーティスト』としての活動も本格的に開始した。これは、45年という長いキャリアで培った全てを、たった一つの「点」に凝縮させるという、壮大な挑戦の始まりでもあった。 祈りのような神秘的で瞑想的な雰囲気をもつドットアートは、気が遠くなるほどの数のドットを重ね並べていくことで創り出される。彼女自身、自らの創作について、「『点。』には森羅万象があると感じて描いている」と語るように、一つ一つの点には、あらゆる色彩と大きさが与えられ、それらが集まり、響き合うことで、一つの大きな生命体のような輝きを放っている。 漫画家として培った”物語を紡ぐ力”。それが彼女のドットアートに、他にはない深みと奥行きを与えている。彼女の描く点の集合体は、観る者の心と静かに共鳴し、ある時は癒やしを、ある時は新たな気づきを与えてくれる。漫画家としての豊かな土壌に、ドットアーティストとして新たな大輪の花を咲かせた野崎ふみこ氏。ドットアーティストとしての評価は国内に留まらず、パリの公募展で審査員特別賞を受賞するなど、海外にも広がりを見せている。物語の語り部から、宇宙の真理を描く表現者へ。彼女の探求は、これからも多くの人々を魅了し続けることだろう。